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Limit battle/2章~最速~

第7話~白いGC8の謎~


高野とのバトルを終えて2日目・・今は午前10時。まだ大学で授業を受けている修と美雪。

っと、修の席の前の男が声を掛けてくる。男は真だった。

真「なァ、修!お前そう言えば高野って奴と一昨日バトったんだって?」

修「ぬぁ?え?あぁ・・」

彼は半分寝掛けていた様で反応が疎かだった。

真「そうか!やっぱり!昨日俺の仕事の先輩の高野さんがさブツブツ『あの茶赤毛のS13の野郎・・次あったら必ず・・ぶちのめす!』

とか言ってたからね。」

修「・・へぇ・・そうなの。悪い、眠いからこの授業のレポート書いといてくれ。宜しく。」

美雪「もう・・分かったわよ。仕方ないわね・・。」

修の手に持たれてたノートを取り、自分のノートと一緒に書き始めた美雪。

真「おいおい、嫁さんこき使うなよ。」

修「あぁ!?違うつってるだろ!」

大きな声で怒鳴りつけて立ち上がった修は「っは!」っと気が付いた時には周りの生徒と先生が修の方へ視線を向けていた。

修「・・す、すみません・・。」

渋々席に座る修。

真「ははは・・周りを考えれよ。」

修「うるせぇ・・。」

2人は小声で言った。勿論美雪も小さく笑って居た。



昼休み

修「ところで何でお前、車持ってたっけ?」

真「あぁ。持ってるよ。かっけぇの。」

修「何?」

真「240ZGだよ。Zさ。」

修「え?旧車?走れるの?」

真「馬鹿にするんじゃねぇ!何だ?やるか!?よし!野郎!今日9時に阿神でいいな?ホントは日本平にしたかったがよ!」

修「へ、へい。」

話が終わった所で真が愚痴愚痴言いながら教室へ歩いていった。

修(な、何だよ・・。)

真を見送った後に自販機であたたかいコーヒーを購入。


放課後。

美雪「ねぇ、今日はどうするの?」

修「勿論行くよ。阿神。」

美雪「じゃぁ、私も行くね!」

修「分かった。んじゃさ、8時30に俺家ね。」

美雪「了解しましたぁ!」

彼女は笑いながら修の方を向いて言った。

っと、突如修と美雪の後ろから1人の女性の声が・・。

???「2人とも走り屋なの?」

修「うわッ!ビビッた!」

美雪「なんだ、里香ちゃんじゃない!どうしたの?」

彼女は上野 里香。修と美雪と真と同じクラスで真の横の席の女性。要するに美雪の前の生徒。

里香「真君と修君の話聞いててね、『ひょっとしたら・・』って思ったから・・。違ってたらごめんね!」

修「あぁ、違くねぇよ。走り屋だよ。俺達。」

里香「そうなんだ!じゃぁ、今度私も峠連れてってよ!」

美雪「え?もしかして走り屋になりたいの?」

里香「うん・・なんかね、私が憧れてる人が走ってるの・・阿神で・・白いGC8のインプレッサに乗ってる人なんだけど・・。」

修(GC8・・見たことねぇな・・。)

少し顔を赤らめた里香は視線を一旦右下に落としたが、すぐに前に戻して美雪を見て言った。

里香「今週の土曜日、明後日に一緒に連れてって!」

美雪「わ、分かったわ・・。ね?いいでしょ?修君?」

2人の視線が修に向く。別に断る理由も無かった修は――

修「あぁ。別に断る理由ねぇし~いいんじゃねぇ~。」

棒読みで言う修。その後里香とは別れ駅まで美雪と一緒に帰った。

美雪「じゃ、また後でね。」

修「ん~。」

美雪に背を向けて左手はポケットに突っ込んだまま右手で手を振る。


PM8:30

修がベッドの上で漫画を広げて呼んでいた。すると、表から2JZ のエンジン音がする。

修「やべ、早く片付けなきゃッ!」

急いで漫画を片付け始めた修。


インターホンがなり、修が出る。

修「おう、入いんな。9時まで家でなんかするべ。」

美雪「うん、お邪魔します。」

2階の自分の部屋へ美雪を連れて行き「ちょっと待ってて。」と言い飲み物を持ちに台所へ行った。

一人残された美雪・・自然と部屋の中を見回す・・。

ふと、目に止まったのは不自然に机の引き出しからはみ出てる本の一部・・美雪は勝手にそれを見た。

美雪「!?」

ビックリした美雪は階段を上がってくる足音に慌てて本をしまって椅子に座った。

ドアを開けたのは飲み物を持った修だった。

美雪「は、早かったね!!」

修「ん?何慌ててんの?」

美雪「な、何でも無いよ・・あはは!」

渡されたお茶を一気に飲む美雪・・顔が少し赤かった。

修(・・変な奴。)


PM9:00

修「さて、行くか?」

美雪「うん、そうだね。」

2人は表へ出てそれぞれ車に乗り込んだ。


阿神峠

PAにはすでに真の姿があった。彼は右手にお汁粉・・左手に餡パンを持っていた。

真「たく・・おっせーな。」

餡パンを食べながら修を待つ真・・・すると、1台の上ってくるマシンのエンジン音が聞こえる・・

真の前に現れたのは白のGC8・・周りとは待ったく違ったオーラが出ていた・・。

真(す・・すげぇ・・周りとは比べ物にならないほどのオーラがビリビリ伝わってくる・・!)

GC8は真の240ZGの横に停めて来た。

中からは長身で茶髪、何かキラキラが出そうな男が降りてきた。

その男は真に気が付いた。

???「どうした?」

真「いや、何か・・凄かったもんで・・すみません!」

???「誤ることは無いぜ。好きに見ても良いぞ。その方が作成者の俺が喜ぶ。さぁ・・どうぞ。」

彼はエンジンフードを開けて真に見せてくれた。

真「うわ・・すげぇ・・中も何かきれいだ・・エンジン見せられても良く分からないけど・・。」

???「そだ、自己紹介がまだだったな。俺は高遠 栄治。麓近くでショップをやっている。」

真「俺は高嶺 真です。宜しくお願いします!」

栄治・・そう言われた男は自己紹介を終えたらふと思い立って真に言う。

栄治「真君だっけ?暇なら俺と一戦やらない?」

真「え!?」

行き成りの一言でビックリした真はお汁粉の空き缶を地面に落としてしまった・・。


第8話へ続く。


第8話~EIJI~


高遠 栄治の突然の誘い・・その一言の重さに凍りつく真・・

栄治「どうした?怖いか?」

真「いえ・・俺では適いそうに・・それに今からバトルする相手が・・。」

栄治「相手?そうか。すまなかったな。また今度自信が付いたらにしよう。」

真「す、すみません・・。」

彼はそう言い頭を下げた。

栄治「いいって、じゃ俺はその相手とやらを見たら帰るかな。ちょっと興味あるし。」

彼がそう言った時、丁度修のS13と美雪のスープラが頂上のPAに入って来た。

車の中で修は思った。

修(白い・・GC8・・GC8の横に居るあの白いコートを着たカッコいい人が持ち主かな・・。)

そう思いながら真の240ZGの横へと停めて車外へと出た。

修「よう、真。その人は?」

栄治「俺は高遠 栄治。宜しくな。」

修「俺は佳山 修です、こっちが綾川 美雪、宜しく。」

美雪「宜しくお願いします。」

2人が挨拶をして頭を下げた後、頭を上げた時に栄治の姿が無く、周りを見回した修の目にS13を見ている栄治が写った。

栄治「へぇ・・S13にR34のFバンねぇ・・実に良い!100点の組み合わせだ!」

修「ど、どうも・・。」

栄治「それにこのFバン・・何気にマインズのバンパーだしさ・・もう最高の2文字だぜ!」

修「ありがとうございます、これは兄さんのお下がりなんですよ。」

栄治「へぇ、兄貴いいの乗ってたんだ!」

修「はい。今は白いS15に乗っていますよ。」

栄治「そうか。あ、悪い。バトルするんだったな。邪魔したな。」

修「いえ、バトルなんてしませんよ。」

真「は?おま・・するっつったろ?」

修「え・・覚えないけど・・」

真は持っていた餡パンを握り潰して言った――

真「テメー!ホラ吹いたな!!」

修「あーあーうっせーよ。」

その2人を見て栄治が言う。

栄治「あはは!お前等見てると俺も『そういえばそんな事あったなー』って思い出すぜ!」

彼は大いに笑った。栄治が笑い終わると4月のまだ冷たい夜の風が吹き栄治のコートを靡かせる――

栄治「―さて、俺はそろそろ帰る。次に来るのは来月の今頃だ。」

修「え・・その間何を?」

栄治「遠征―」

彼はそう言った後に修達に背を向けて続きを言った。

栄治「俺はな、『DESTINY』と言うチームのリーダーをやっている。『DESTINY』はあらゆるチームのボス達で

結成された言わばエリート集団。とりあえず今月落とすのは、群馬辺り・・」

その話された内容に修達はあまりにスケールの大きさに凍りついた。

栄治「今は―5つ落とした。結果は寝て待っててくれ。良い報告をする。」

彼はそう言って自分のGC8に乗り込んだ。ふと隣の真の240ZGを見て思った。

栄治「あれ?真。お前S&Sのメンバーだったのか?」

真「え、あ、ハイ。そうです。」

栄治「なんだよぉ、早く言ってくれれば良かったのに!」

彼の反応に真は不思議に思った。

栄治「お前のリーダー、『勝也』な、俺のチームに参加してくれてるんだぜ?」

真「え!?そうなんですか!?初めて聞きました!」

栄治「はは。今度『勝也』に聞いてみると良い。」

真「はい!」

栄治「じゃ、俺は帰る!またな!」

彼はGC8を走らせPAを出て行った・・

修「すげぇ人だな・・」

美雪「あ、もしかしたら里香ちゃんの憧れの人って・・。」

真「・・勝也先輩が・・あの人のチームに・・!」

栄治の帰って行ったので場の空気が一気に鎮まり返る――

修「さて、やるか?勝負!」

真「お、おう!やるぞ!」

2人は調子を取り戻し、お互い車に乗ってPA外に車を並べた!


第9話へ続く。



第9話~vs OLD CAR~


スタート位置に並べられた修のS13と真の240ZG・・

真「んじゃぁよ、美雪。スターター頼みわ。」

美雪「オッケー!」

S13の中で修は真に「ここは一つお手柔らかに!」っと言った。

真「っへ!お前なんざコレが簡単に倒してやるよ!」

そういい腕を組んで鼻で笑った。

240ZGに乗り込んだ真はシートベルトを確り締め、ハンドルを握った。

代わって修はシートに座って余裕綽々でハンドルを握っていた。

修(あんな旧式・・大して速くもないだろう・・っが、確り走らないとな。)



美雪「カウント行きます!」

カウントをし始めた美雪。それに合わせてS13と240ZGはアクセルを煽る。

修(あり?S30ってこんなエンジン音か?直6っぽィじゃん・・)

不安を覚え始めた修は舐めていた態度を一変させ真剣な顔付きに変わった。

美雪「GO!」

2台のマシンがスタート!

修「!?」

何と、スタートで240ZGが前を取ったのだ!

真(甘く見るなよ・・見た目はこんなでも心臓はガチなんだ!)

240ZGは加速でどんどんS13を引き離す!

修(嘘だろ・・何だあれ!?)

若干焦りながらもシフトアップする修。240ZGはS13より先に連続ヘアピンへと入る!

進入速度もかなりの物だが、綺麗なフォームで白煙を撒き散らしながら第一ヘアピンクリア!続く2ヘアピン目へと迫る!

修(ち・・シクった・・あんなに速いとは・・相当パワーあるな。軽さもかなりのモノか・・!)

S13も同じ様なスピードでヘアピンをクリアしたが、コーナー出口で多少モタ付いた。

修「ちぃ!!」

真の240ZGはS13と50m以上のさを付けていた!240ZGはもう連続ヘアピンを終えていた。

修(畜生・・速ぇじゃねぇか・・!)

コース最長の直線・・ここでは流石にS13がやや速い・・が、240ZGはまだ先に居る。

修「コースはまだ長い・・しかし・・何処で・・?」

差を縮めて来たS13だ・・ヘアピン・・右の大きなコーナーをクリア。そして、240ZGのリアテールがやっとの事S13のフロントバン

パーの近くまで来る!

真「げ・・速いな・・!流石だぜ!」




S13は「やっと追い付いたぜ!」と言わんばかりにフロントバンパーで240ZGのリアを軽くこずく。

真「っく・・挑発か!」

そして2台は2セクの始めの橋を渡る。その橋を渡りきってすぐに左ヘアピンがあるが、そこの路面荒い為ギャップがかなり激しい

真「結構いい足なんだけど・・ここはキツイ・・!」


修「う・・かなり跳ねる・・!」

2台はギャップに耐えて少し長い直線へ。

修(スパートを掛けるならこの後のキッツイヘアピンだ・・)

ギャップ後の右コーナーもクリア、その後の左ヘアピンもクリア。そして、コースでもっとも鋭く危険なヘアピンコーナー・・




阿神で走る走り屋達からは通称魔のコーナーと呼ばれている。

そこでは幾つ物事故が何件も起きている場所。人の命に関わる事故は主にここが多い。

真(・・この先魔のコーナー・・やべぇ・・ビビるな・・俺!)

気合を入れ直して集中した。

240ZGは減速!それをみて後ろのS13はそれよりも遅く減速!ここで2台が直線でサイドバイサイドとなる!

真(ば・・馬鹿!事故る気かぁ!?)

ブレーキの差でS13のノーズが前に出る!そしてアウトから240ZGの前を覆うように塞ぐ!

真(ぁ・・危ッ!)

修の無理なアプローチにビックリした真は誤って1速余分に落としてしまって2速の所を1速にしてしまった。

彼は思わず声を上げた。

真「くそー!何だそれ!?ミスっちまったじゃんかアッー!」

240ZGは失速し、その隙に前へ出てトップへ躍り出るS13。

が、まだ真も諦めない。

真「やる!ぜってぇもう一度前へ出てやる!」



と思ったが、外から『バスッ!』っと大きな異音・・それと同時に車体が右フロント側に傾いた。



真「!?」

何と急に右フロントタイヤがバーストしてしまったのだ。

それに気が付いて車を停めた真。車から降りて240ZGに寄り掛かってため息を付きながら言った。

真「・・ふぅ。負け・・かぁ・・。」

バトルは240ZGのタイヤのバーストで修の勝利で幕を引いた・・。


第10話へ続く。



第10話~兄の旧友~


修が峠デビューしてから3ヶ月と半月・・もう本格的な夏が始まった頃、大学も夏休みへと入っていた。


修自宅・・

家でいろんな車関係の雑誌を読んでいた修は昔から思っていたある事を再び思い出していた。

それは、一番好きで憧れていた車、ランエボの事だ。

修が高校へ入った後、兄の陽介に連れられて見に行った走行会で目にしたのがランエボであった。

最初に見たのは銀のC-westのフルエアロを装備した銀のCT9Aで恐ろしく速くランキングで上位に居たマシンだ。

走っている姿、4G63の痺れるようなエキゾースト・・それらに魅せられた修はその日以来公道でランエボを見かけると

声を出して喜んでいた・・。




修「・・今になると叶わない夢じゃねぇな・・コレ。」

ベッドの上でゴロゴロしながら雑誌を読んでいた修、そこに携帯が鳴る。

修「あ・・電話か・・何だ美雪か。」

携帯電話を手に取り電話に出た。

修「もしもし・・。」

美雪『修君もしかして家に居て暇だったりする?』

図星を突かれてちょっとイラッと来た修は小さな反抗をした。

修「いやぁ・・それがちょっと忙しくてさぁ。」

美雪『あ、暇なんだね!』

修「・・・。」

美雪『まぁ、いいわ。それはそうと、修君って"明智 俊介"って人と"舘 明弘"って人知ってる?』

修「知らねぇよ?何で?」

美雪『その明智って人は調べたんだけど阿神での下り最速ホルダーらしいわ。』

修「な・・阿神でか!?」

美雪『うん。っで、舘って人は箱根峠で最速だって・・。』

修「阿神と箱根って・・何処が共通すんだよ。」

一呼吸置いてまたしゃべり出す美雪・・

美雪『車種がね・・FDって事で同じらしいの。』

修「FDねぇ・・」

美雪『舘って方の車の特徴と走り方までは調べ上げ切れてないけど、明智って人は白のFDでRE雨宮のエアロフル装備でとにかく

四駆が大の嫌いで四駆を見かけるとすぐに勝負を仕掛けてくるらしいの・・四区の中でもGT-Rが大っ嫌いって噂よ。』

修「へぇ・・よし分かった。覚えておくよ。んじゃまたな!」

美雪『うん、じゃ。』

電源を切って少し考え込んでその"明智"って男の事を調べるようにした。

その為にはまずは兄に聞いてみ様とした。

修「あれ・・兄さん居ないな・・。」

家中際がしても兄の姿がない・・何処へ行ったのかとふとガレージへ向かった。

陽介「・・よう。修か。」

修「兄さん。何して・・?」

陽介「いや・・ただお前のS13のサスを軽量な物にしてただけだ。もう終わったけどな。」

修「すげェ!ありがとう!」

陽介「っで、聞きたい事があったんじゃないのか?」

修「あー、そうそう。兄さん明智 俊介って人知ってる?」

陽介「あぁ、知ってる。」

以外にも軽い一言だったのである意味ビックリした修だった。

修「え・・どんな奴なの!?」

陽介「知ってるって言っても、そいつの兄貴をな。」

修「なんだ・・」

陽介「会いたいなら連絡付けるが?」

修「いいよ、そこまで会いたい訳じゃないし。」

陽介「そうか・・んじゃ、汗かいたし俺シャワー浴びてくるわ。」

そう言って肩にかけてあったタオルで顔に滴っていた汗を拭いながら家の中に入って行った。


その夜・・

修は何時ものようにS13に乗って阿神峠へと出かけた。

すると、家を出て狭い路地を抜けた所で白いエボ3を見かけた。

修「おっ!エボ!カッコいいなぁ・・。」

そのエボ3はすぐに視界から消えて行った。


十数分後、修は阿神峠の麓までやって来た。

麓のコンビニに修はS13を停めた。その横に黄色のR33・・そう、万屋の400Rだった。

修「あ・・そういえばかなり前約束して忘れてたっけ・・。」

修のS13に気が付いた万屋は修に近寄ってきた。

万屋「よう!お前約束忘れていただろう?」

修「あぁ・・忘れてたよ・・すっかり・・。」

万屋「ガッハハハ!気にすんなや!でも、俺は約束を守る男だから約束は果たさなくちゃな。」

と言い彼は400Rの助手席の所のダッシュボードから2枚のチケットを取り出した。

万屋「ほい。」

修「アレ?なんで2枚?」

万屋「そりゃぁ、あの・・美雪って子と行くんだろ?頑張れよー!」

修「まぁ・・そのつもりじゃなかったけど・・ありがとうな。」

万屋「んじゃ、一緒に見るか?」

修「え・・バトルやってるんですか?」

万屋「ああ!何と、ここの最速の男と親友だって噂の白いEK9使いとその同級生の女だってよ!」

修(最速・・明智って人かな・・?でもEK・・)

万屋「女の方は蒼いユーラスエアロだかのER34だってさ。」

彼の言うバトル・・・ギャラリーがかなり出ている様だが、果たして誰なのか!?



第11話へ続く。


第11話~親友達~


頂上から今スタートしたと言う無線を受けてから1分が過ぎた・・その頃ゴールの麓にはさっきの倍のギャラリーが出ていた。

修(うわ・・結構集まるもんだな・・人間って多すぎだろ・・。)

そう思っていたが、すぐにレースをしていると言う2台を待つようにして腕を組みS13の右リアフェンダーに腰掛けた。

万屋「フェンダー取れないか?」

修「取れるわけネーだろ。」

少し雑談をしながら待つ2人・・


丁度そこに電話が鳴る・・電話は知らない番号だった。

修(誰だ・・?)「はいもしもし・・。」

???『よう、久しぶりだな。俺だ。分かる?』

修「わからん。」

???『ヒドイなぁ・・ホラ、中坊っ時一緒だった笹坂だ。』

修「あぁ。やられっ子拓ちゃんか。」

???『やられっ子って言うなぁ!』

電話の主の名前は笹坂 拓郎・・修の中学の時の同級生で中2から中3まで一緒だった。

拓郎『所でお前最近走り屋になったとか?』

修「あぁ、そうだよ。」

拓郎『で?車は?』

修「S13だよ。今度見に来れば?今は阿神に居るけど。」

すると、電話の向こうからスキール音が聞こえてきた。

拓郎『何だ、偶然にも俺も阿神に居るぜ。』

修「マジ!?じゃぁ後で落ち合うか!今やってるバトルが終わったら頂上にな!」

拓郎『ハイよ!』

そう言って電話を切った。


徐々にスキール音が激しくなっている。この音だと2台の差はそう無い。

万屋「以外にも縺れているな・・。」

修「あぁ・・どっちが前か・・だ。」

峠を下ってくるマシンのヘッドライトが木々の隙間からちらつき始めて来た。

万屋「来るぞ・・!」


最終右ヘアピンを最初に立ち上がって来たのは白いEK9だった!

だが、後ろのER34は立ち上がりでEK9のリアバンパー間近まで迫った!

修(コレはこのストレートがあるから分からない!)

ER34がストレートでEK9に並び掛けようとする!勝負に出た!

ギャラリーがワァッ!っと歓声を上げた。

が、最初にゴールラインを通過したのは僅差でEK9の方であった。



2台のマシンが麓のコンビ二の駐車場に停車した。

ER34から勢い良く赤いバンダナをした女性が飛び出して来て喚いていた。

女「キッー!悔しい!後少しだったのに!!」

EK9から結構背の高くて黒髪が跳ね上がっている男が出て来てその女性に喋りかけた。

男「惜しかったなァ・・まさか立ち上がりであそこまで追い上げてくるとはよ。」

女「ふん、どうせ本気じゃなかったんでしょ!」

男「げ・・バレてた?由美は見る目あるなァ・・参った!」

由美と言われた女性は高田 由美・・男の方は佐田 良人と言う。

由美「全く、アンタそれでも走り屋?走り屋ってどんなバトルでも本気でやるのが筋でしょ?」

良人「そうなの?楽しければいいんじゃね?」

笑い出した良人に呆れた由美だった・・すると、由美が修に気が付いた――

由美「あれぇ!?修君じゃない!どうしてここに?」

良人「あ、ホントだ。」

修「ど、ども。お二人さんお久しぶりですね!新年の挨拶以来ですかね?」

良人「あァ、そうだな。しかし、お前ももうそんな歳かァ・・走り屋になっちまうなんて、本当にどうしようもない兄弟だ!」

由美「私達が言える立場じゃないでしょ。」

彼女の一言に良人は頭に手を当てて「サーセン。」と謝った。


良人「――で?兄貴はどうしてる?」

修「あァ、兄さんは運送会社で確り働いてますよ。」

由美「あー天下の陽介も一般にまで落ちたわねぇ・・」

修「腕は健在です。」

良人「さて、俺は帰るぅ。」

左手を上げてせを向ける良人に万屋が問いかけた。

万屋「おい、待ちな。」

良人「あん?」

万屋「お前の親友の阿神最速って・・誰なんだ!」

彼の質問に目を右側に泳がせて修を一回見てからこう答えた。

良人「その事は修に聞くのが一番だぜ?」

万屋「っな!?」

彼は勢い良く修の方へ向く。それと同時に良人はEK9に乗り込んで駐車場を後にした・・

良人の言葉通り、修に聞こうとして修の両肩を両手で思いっきり掴んで押さえ付けた。

修「―ッ痛・・」

万屋「ここの最速は・・誰なんだ!?」


第12話へ続く。


第12話~最速の男・・現る~


万屋が修の肩を思いっきり掴んでS13に押さえ付けながら聞く―

万屋「―最速は・・誰なんだ!?」

彼の腕を払い除けた修――しかし、まだ万屋の質問は続く。

万屋「教えてくれ!誰なんだ?!」

修「あー!うっせぇな!知らねぇっつってんだろ!」

彼はうっとおしそうな眼で万屋を見て言った。

万屋「あ・・す、すまん・・。」

修「分かればいい。しかし、ホントに知らないんだ・・」

―――”嘘よ、一番貴方が知っているでしょ?”女性の声が聞こえた。

修「由美さん?俺はホントに何にも・・」

由美「だから、嘘でしょ?」

修は-知らない-と言っているのに由美は-嘘-言い張る・・次第に修はイラ付いてきたようだ・・

修「・・知らないって言ってるでしょ?マジなんですよ?」

由美「あ・・あれ?何も教えてもらってないの?」

修「誰にですか?」

由美「貴方の兄さんよ。」

彼女の言葉に修は疑問を浮かべる・・いかにも「は?」っと言いたげな顔で由美を見る。

由美「あー・・ごめんなさい。なら、私が教えるわ。」

修、万屋は彼女が喋るのを待った・・

由美「実はね、修君。ここで一番速いのは――」

彼女がそこまで言った時、後ろから一人の男が喋りかけてきた。

???「俺だぜ?」

ビックリして勢い良く振り向く由美・・そこには茶髪で髪が長くそこそこ背の高い男が立っていた。

修はその男の発するオーラがビリビリと伝わって来た・・・。

由美「あ・・貴方は・・!」

???「それにしても・・その黄色いブタ・・目障りだ。退けろ・」

男の言った黄色いブタとは、万屋の400Rの事だ。

万屋「あぁん?んだとゴラァ?」

???「俺はな、この世の全ての四駆!GTR!っが!大っ嫌い!何だよ。」

男の言葉の間にアクセントがかなり入っていた。

由美「アンタねぇ・・」

???「ふん。そんなデブなマシンはこの世に必要無い!よって!ゴミ。」

その言葉にカチンと来た万屋・・


っと、そこにまた一人の男が現れた・・その男の後ろには黒のingsエアロのGDB-Fであった。

修「た・・拓郎?」

そう、その男は先ほど修に電話をしてきた笹坂 拓郎だった。

拓郎「全く・・つまらねぇ男だ。四駆が嫌いィ?ふざけんなよ!」

???「ふん、四駆に乗ってる奴はダートに行け!だ。性能ばかりのデブは壊れろ。」

由美「ちょっと、ここで喧嘩売らなくてもいいでしょ?俊介!」

彼女は確かに『俊介』といった・・修は聞き逃さなかった。

修(俊介・・明智 俊介か・・!?)

そう、その男は今日美雪が電話で言っていた男・・明智 俊介だ。

俊介「・・そこのS13のドライバーは誰だ?」

修「お・・俺だが・・」

俊介「お前か・・そのS13のバンパー・・外せ。」

修「・・え?・・はァ?!」

行き成りの事でビックリした修・・そこに拓郎が―

拓郎「お前いい加減にしとけや・・ここではお前より速ぇのがインだぞ?」

俊介「黙れインプ、砂場で遊んでろ。」

彼の一言でキレた拓郎。

拓郎「―だとコラァ!」

殴りかかろうとした拓郎を修が止める。

修「止めろ!気持ちを抑えろよ!やられっ子!」

拓郎「・・ちょ・・それで呼ぶなよ・・。」

急にやる気が落ちた拓郎・・そこに煽りをかける俊介

俊介「四駆に乗ってる奴は所詮性能に乗せられているだけの未熟者だ。けして速い訳じゃない。」

その言葉には周りの走り屋もブーイングの嵐だった。

拓郎「かまっても意味がねぇ・・無視して帰る。」

俊介「ふん、俺も今日は走る気分じゃねぇからな・・また会おうぜ・・そのS13の野郎とER34のメス。」

そういって後ろに置いてあった白いRE雨宮のエアロで武装したFD3Sに乗り込んでREエンジン独特の音を響かせながら

夜道を駆け抜けて行く・・。


拓郎「やな奴・・」

修「あァ・・」

由美「でも、腕は確かなのよ・・。」


3人は嵐が過ぎたかの様な感じがしていた・・・


第13話へ続く。




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